研究課題名:  iアプリとしての感性万華鏡あそびツールの作成とイメージ通信への応用

研究分野:  インターネットによる遊びの研究

研究目的:
(1)日常のその時々の,心のイメージを表すグラフィックス画像を,本研究において開発する iアプリソフトウェアを使用して,携帯電話を使って,誰でも手軽に作成できるようにすることを目的とする.グラフィックス画像を作成する時は,万華鏡をグルグル回すやりかたをソフトウェアでシミュレーションして,手軽に遊び感覚で作成できるようにして,気に入った画像が現れると,その画像を完成品として保存する.

(2) 作成したグラフィックス画像をiモードを利用して送りたい相手に送信して,自分の,その時々の心のイメージを,手軽に遊び感覚で伝えることができることをiアプリソフトウェアを試作して実験的に確認する.一般的にグラフィックス画像はデータ容量が少ないので,iモードによる通信に適していて,短時間での送受信が可能であり,通信コストも安く済む.

実施計画:
(1) iアプリの作成
携帯電話において,そのキーボタンを操作することによって,画面にあらわれるグラフィックス画像を万華鏡の如く変化させて,自分の気に入った画像があらわれると,保存できる機能を実現するiアプリを試作する.

(2) iアプリを使ってグラフィックス画像を作成する方法
ユーザは最初に作りたいイメージをあらわす感性語を選択する.iアプリでは,感性語と配色イメージの関係をあらわす辞書を内蔵していて,感性語に対応する配色を使って,グラフィックス画像を作成してゆく.グラフィックス画像の形状的なデザインは大中小の円,楕円,正方形,長方形,星形などのシンプルな基本形状を使って,万華鏡の原理(3軸対象図形をランダムに変化させて順次表示する)に基づいてiアプリソフトウェアが作成する.基本形状につける色は,感性語に対応する配色の色を適用する.ユーザが最初に入力したイメージに物足りなくてイメージを変えたい場合は,iアプリに内蔵させてあるイメージスケールを利用して,ユーザがおこなうキー操作よって近接するイメージに順次変化させてゆく.イメージスケールでは,soft-hard ,warm-coolなどの感性軸によってイメージ空間を形成し,その空間上のそれぞれの場所に各感性語を配置している.(参考:小林重順著,カラーイメージスケール)

(3) グラフィック画像の送信機能の作成
iモードを利用して,作成したグラフィックス画像を送りたい相手に送る機能や,インターネット上のファイルサーバに送る機能を試作する.一般的にjpegなどの画像データはデータ量が多く,iモードによる通信では,送信のための時間やコストがかかるが,本研究で使用するグラフィックス画像はテキストデータであるので送信のための時間やコストの負担は小さい.
この送信機能によって,年齢を超えたいろいろな相手とイメージ画像によるやりとりが可能になる.
  
(4) 実証評価

上記の機能を実現して,実際に何人かの人に使用してもらい,イメージ画像を使って人と人とが自分の気持ちや印象を相互に伝えあうことができるサービスの実現可能性や有効性を実証評価する.

研究の独創的な点、期待される効果等

【独創的な点】

 iアプリを使って自分の持っているその時々のイメージを携帯電話機を使って手軽にグラフィックス画像にすることができる.グラフィックス画像を作るときに,印象語と配色パターンの対応付けをした配色イメージ辞書とイメージ空間でのイメージの配置を示すイメージスケールを利用して,iアプリソフトが万華鏡のやり方にならって,グラフィックス画像を自動的に作成して順次表示する.ユーザは表示された画像の中から自分の好きな画像を選択することによって,自分のイメージを表現するグラフィックス画像をiアプリを使って簡単に作ることができる.グラフィックス画像はデータ的
に容量が大きくないので,安い料金で送信することができ,いろいろな人とイメージによるやりとりが手軽におこなえる.
 
【期待される効果】
本研究で試作するiアプリソフトウェアを使って,自分の持つその時々のイメージを手軽にグラフィックス画像化して,送りたい相手に送ることができ,イメージ画像を使ってのやりとりが手軽にできるようになる.

作成途中のグラフィックス画像をサーバに置いて,他のユーザがそのグラフィックス画像をダウンロードして,さらに画像に手を入れることによって,グラフィック画像を共同製作することができる.


研究内容を表わすキーワード
 iアプリ,電子万華鏡,イメージ通信


研究課題に関連する分野における国内外の動向

以下のような,関連する研究発表や,iモードの利用事例,カラーイメージに関する図書が有るが本研究のような事例は見あたらない.

(1) ネット句会,オンライン句会: 
 俳句界に電脳化の波が押し寄せている。iモードなどのインターネット接続型の携帯電話を持ち歩き、詠んだ句を親指で打ち込む。それをメールで交換すると、瞬時に「ネット句会」が始まる。句会専用ホームページもにぎわっている。(朝日新聞記事から引用,2001年8月4日)


(2) 木原民雄,安斉利洋,中村理恵子,安田浩,絵ことばコミュニケーションシステムと絵ことば基本コレクション,DICOMOシンポジウム,情報処理学会,1999年6月.

 コンピュータで自由に絵を描いて,これを新しい絵文字としてネットワーク上でメッセージ交換してコミュニケーションを図るシステムである.iモードは使っていない.また,絵を描かねばならないという負担がある.


(3)小林重順,カラーイメージスケール,講談社,1990年5月.
 印象語(感性語)と色彩との関係を網羅的・体系的に示した本である.