分析手順の基礎(5)
因子分析
例:x1,x2,x3,x4,x5,x6の6項目に対して因子分析を行う
- 「方法」は「主因子法」を選択。
- 「抽出の基準」は「最小の固有値」で,値は「1」とする。
- 「回転」は「バリマックス」を指定する。
- 結果の出力
- 「共通性」が出力される。
- 各測定値に対して,共通因子で説明される部分がどの程度あるのかを示す指標である。
- 共通性が大きな値を示している測定値は,共通因子から大きな影響を受け,独自因子の影響力が小さいことを意味する。
- 直交回転の場合,因子抽出後の共通性が.16未満であることは,いずれの因子にも.40以上の負荷量を示していないことを意味する。
- 「説明された分散の合計」の中に「固有値」が出力される。
- 固有値が大きいほどその因子と分析に用いた変数群との関係が強いことを表す。
- 因子数を決定する時には「初期の固有値」を見る。
- 固有値1以上もしくは次の因子との固有値の差が相対的に大きいところを見て因子数を決定する。
- 因子分析結果を記述する際には「回転後の負荷量平方和」を見る。
- 「合計」の欄に書かれているのが「因子寄与」である。
- 「分散の%」および「累積%」には「寄与率」および「累積寄与率」が書かれている。
- この場合,第1因子の寄与率は36.83%,第2因子の寄与率は33.24%であり,2因子の累積寄与率は70.07%である。
- 2つの因子で6項目の全分散の70.07%を説明していることになる。
- スクリープロットが出力される。
- 固有値の変化がグラフとして表現される。
- 第2因子までが固有値1以上であること,第2因子と第3因子の差が相対的に大きいことが分かる。
- 「因子行列」は回転前の因子負荷量(初期解の因子負荷量)である。
- 「回転後の因子行列」はバリマックス回転後の因子負荷量行列である。
- 因子負荷量が.35や.40であることを基準にして因子の解釈を行うことが多い。
- この場合,x1, x2, x3が第1因子に高い正の負荷量,x4, x5,
x6は第2因子に高い正の負荷量を示している。
- プロマックス回転を行った場合
- 「説明された分散の合計」の「回転後の負荷量平方和」に寄与率は出力されない。結果を書く際には初期の寄与率を記述する。
- 「回転後の因子行列」の代わりに「パターン行列」と「構造行列」が出力される。解釈を行う際には「パターン行列」を参照する。
- 斜交回転の場合には「因子相関行列」を参照して因子間の構造を検討する。
主成分分析
例:x1,x2,x3,x4,x5,x6の5項目に対して主成分分析を行う
- 「説明された分散の合計」に固有値等が出力される。
- 「抽出後の負荷量平方和」を見る。
- 6項目の全分散のうち,2つの主成分で説明される割合は79.33%である。
- 主成分分析では因子行列ではなく「成分行列」が出力される。
- ここで表示される数値は「重み」と呼ばれる。
- 第1主成分にはすべての項目が正の重みを示し,第2主成分にはx1, x2, x3が負の重み,x4, x5, x6が正の重みを示している。
- 第1主成分は6項目の総合的な指標になり,第2主成分はx4, x5, x6対x1, x2, x3のいずれが顕著であるかを表す指標となる。
コレスポンデンス分析
※SPSS Categoriesオプションが必要である。実験室の端末にはインストールされている。
例:カテゴリ1からカテゴリ4までに対して等質性分析を行う
- 「データエディタ」の「変数ビュー」を開き,「被験者」の「型」を「数値」にしておく。
- 結果の出力
- 各変数の度数や反復の記述,固有値などが出力された後に,数量化の結果が出力される。
- 上記の数値に従って,各変数を平面上にプロットすると次のようになる。
- また,各個人を平面上にプロットすると次のようになる。
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小塩研究室