女人堂に向かって歩いて行くと、道の中程に双眼鏡が据え付けられている。近づくとささやき声が聞こえてくる。 「あんた、何してんの?」 |
辺りを見回しても、誰も見当たらない。双眼鏡を覗くと、双眼鏡を覗いている自分の後姿が見える。
ささやき声が重なる。
「あんた、何見てんの?」 ・・・・・ 「あんた、何が見えんの?」 ・・・・・ 「なあ、何が見えんの?」 ・・・・・ 「あんた、見られてるえ。」 |
双眼鏡からほぼ2mの位置に人が近付くと赤外線センサーが働き、「あんた、何してんの?」というささやき声が再生される。双眼鏡を覗こうとして、双眼鏡からおよそ30cmの位置に立つと、さらにもう一つの赤外線センサーが働き、「あんた、何見てんの?」から「あんた、見られてるえ」までの一連のささやき声が再生される。
二つのビデオモニター( 0.7インチTFT LCD )と二つのスピーカーが双眼鏡に組み込まれ、二種類の赤外線センサーは、双眼鏡下部に取り付けられた金属ボックスに納められている。 音声を制御する主なシステムは、双眼鏡の支柱の下部に取り付けられた金属ボックスに納められている。ささやき声はROMに書き込まれ、音声システムはマイクロコンピュータで制御されている。 |
2台のビデオカメラを組み込んだポールが、坂の登り口に据え付けられている。このポールは、ほとんど車止めにしか見えないようにデザインされている。 |
左: ポールに納められた2台のビデオカメラ。 右: 観客は自身の後姿を3Dの立体映像として見ることができる。 |
第10回芸術祭典・京/公募「京を創る」/企画・審査:篠原資明/この公募には261点の応募があり、8点が選ばれ展示された。/出品者:梅木陽一、大巻伸嗣、高野春日と野山鉄工所、鹿田淳史、伊熊昌治+高木恭子、マーク・ピーター・キーン、今江康弘、山口良臣 |