いわき市 再訪

2023年春に福島県いわき市を訪ねた。津波の被害に遭った地域周辺に宿泊した。
その宿のご主人と雑談していたら、かつて2011年の大震災の折に自分がボランティアに来た時に対応頂いた消防団の方であることが判明した。偶然だった。

震災発生直後、NHKの当時の震災報道で高齢の現地孤立被災者が多数存在し、もうすぐ餓死するかも知れないとアナウンサーが連呼していた。

わたしはそれを聞き、慌てて仕事を休み、ハイブリッドレンタカーを借りてガソリンなどの燃料や食糧を届けに名古屋からいわき市に向かった。

しかし、現地に行っても具体的な情報が得られないので孤立する被災者の所在を尋ね歩いても見つからない。あるいは「制服」を着ていないせいか物資を受け取ってもらえない。

結局、何軒かの被災者に食料や水を渡すことは出来たが、逆にたくさんの孤立被災者がどこの家に取り残されているかは現地を細かく回ってもわからなかった。

訪ね歩くうちに、被災地で活躍する消防団員に聞き地元の被災者の避難所になっているという近隣高校の受付けにすべての運搬した食料や物資をわたして帰途についた。

そんな、当時の四方山話を宿のご主人とすると笑顔でボランティア活動のお礼を言っていただいた。その夜、宿の夕飯に気持ちだけ、とサービスでビールが出てきた。

ご主人のお気持ちに感謝しつつ晩酌を美味しく頂いた。

旅は「埋もれている日常」のなかから、普段使うことを忘れているような感情や個人の思い出を引き出して見せてくれることがあるようだ。

またいつか来てみたいと思う。


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