映像コンテンツ特論 第3回

2020.11.30 映像コンテンツ特論 第3回

テーマ「大人の映画」
 昨今、子供向けの映画やコンテンツが全盛である。では大人向けの映画とはどのようなものなのか? その手法やテーマ性などを考える。

Casablanca 1942 USA ハンフリーボガード イングリッドバーグマン
戦時下の悲哀と大人の恋愛を描いた作品。当時ハンフリーボガード42才、イングリッドバーグマン27才。銀幕のスターという言葉がよく似合う映画。ハードボイルド作品。アカデミー作品賞ほか3部門受賞。 映画女優とは、演技の上手い下手でなく、外見の良し悪しでもなく、ひたすらその人のたたずまいであることを、イングリットバーグマンに教えられる映画。 大人の悲恋、哀愁が良い。

Shane 1953.USA 南北戦争後の西部劇。ガンマンの悲劇や子供の教育的側面も描く。対決の際の会話が秀逸。ヤンキーと敵を呼ぶセリフから南北戦争の残り香を感じる。最後の場面で子供に「人を殺したら元には戻れない」と諭すアランラッドが大人を演じている。ガンマンが活躍する映画ではなく、ガンマンやアウトローという人種が滅びゆく様を描いた映画。打ちあう球数も数発のみ。ピースメーカーには6発しか装填できないのだから当たり前。

Butch Cassidy and the Sundance kid, 1969 USA アカデミー4部門受賞
西部劇が映画の黎明期そのものの題材であることを訴求。ジョージロイヒル監督。キャラクターの立て方や紹介の仕方が秀逸。
冒頭の銀行でのポールニューマンのセリフと編集、レッドフォードの登場の仕方とカメラワークは映画の教科書。子供には気づけない
旨味がたっぷり詰まった大人の映画。

Bullitt 1968.USA, Steve McQueen. ハードボイルド映画の傑作。主人公が押し黙っているのがハードボイルドではない。カーアクションの金字塔。
殺し屋も刑事も叫んだり凄んだりすることなく、淡々と仕事をこなす様子や描き方が大人の映画。

Getaway 1972.USA 抑えた演技と読後の爽快感。リアリティのあるアクション表現と恋愛要素をうまくコントラスト表現している。
キャラクターの立て方が最高に効いている。

The French connection 1971.USA アカデミー5部門受賞 リアルな表現とカメラワーク、徹底したリサーチ。本物の警官が出演している。Bullittを超えるカーチェイス。テーマ、映像表現、演技演出とまさに大人の映画。ジーンハックマンの大出世作。このような演技ができる日本の映画俳優を思い浮かべることができない。

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