近年「ゆとり教育の弊害」が叫ばれている。その波は確実に大学の現場に押し寄せている。講座の中で「フェルナンレジェは映画作家としてはあまり知られていないが、画家としては皆知っていると思う」と言うと、何十人もの学生がいて誰もその名を知らないという。聞けば、今までに美術史というものを露程も習っていないのだという。であるから「自称不勉強」の私も付け焼き刃で簡単な美術史の講義を行い、その上で映画技術や映画史などの簡単な説明をするのである。 要するに「ダリの映画では」とか「レンブラントライト」などと言ってもチンプンカンプンなのである。
一方で携帯電話とパソコンの普及の弊害についても触れたい。私が実習の授業で「何でもいいから自由に映像を作って見なさい」というと全員まずパソコン画面にむかうのである。彼らにとってはカメラというものは、もはや映像制作に必ず必要なものではないようだ。これは百歩譲って手法がいけないわけではない。ただし、この現象が表すように、他者との関わりの中で泥まみれになって「映像を成立させる」という概念が欠落し、自分一人で「お絵描き」するように映像作品を作りたい学生がほとんどのようだ。
映像のテーマや題材についてはもっと悩ましい。とにかく、飢えや渇きはともかく、社会的反抗心も何も持ち合わせたことがないものがほとんどなので「表現してみたい何か」が見つからないのであろう。
確かにYOU TUBEや編集ソフトやカメラなどは日進月歩を遂げ映像制作の環境はこれ以上ないほどに整った。しかし、そこにはテーマなき「映像飽食」の時代が待っていたようだ。
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