名古屋市立大学 栗原映像研究室ブログ

メディア/道具 鉛筆論

いつも思う事がある。すべてのメディア(道具)は鉛筆に例えられると。

よく「俺はパソコン(あるいはソフト)を扱うのがうまい」「カメラを扱うのがうまい」という言葉を聞く。それは結局のところ全く中身の話をしていないという事に本人たちは気がついていない。

では「鉛筆を扱うのがうまい」という言葉を聞いた事があるだろうか?

そもそも鉛筆とは何のための道具か。字を書くため、絵を描くため、文章(俳句、小説ほか)を書くため、などか。鉛筆の使い方は無限で自由だ。そこに異論はないだろう。

そして、上記それぞれの『目的」そのものに優劣はない。鉛筆とはこうあるべしなどと言う者はいない。

翻って、パソコンソフトやスマートフォーンや、その他多くの道具や技術は「こうあるべし」とか「使うのがうまいからプロである」などともっともらしく唱える人々が巷に大勢居る。

「私は鉛筆が使うのがうまいからプロの物書きである」といったら人々は笑うだろう。

しかし、ひとたび「その道のプロ」が鉛筆を握れば、プロの小説家の文章に、あるいはプロのデッサン画に、「鉛筆を使う事」がだけがうまい輩(そんなのが存在するとすれば、だが)が太刀打ちできる筈もない。

つまりは鉛筆のような極めてシンプルなものを使わせたときこそ、プロと素人の差が歴然とするのである。

そして、その事に言及されるのが怖い者たちが「技術論」や「こうあるべき論」を振りかざす事が世の中には多い(もちろん例外もあろうが)

我々は何を目指すのか? 豊かな創造力を標榜するのか? あるいは単に時流に乗る事を目指すのか?

かつて、写植屋や自動車の運転が出来る(タクシーなどの乗車サービス提供という意味ではない)、カメラが写せる、などと威張る人がいた。彼らは、当時のそれらのもの「鉛筆」になぞらえて考えていたのか、どうか。そして、今振り返ってそのときの自分をどのように感じているのか…。

そういう極めて生活感のある「歴史的な問題」を我々はどのように今に置き換えて捉えて行くのか? それが大切な視点ではなかろうか?

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編集

私の恩師にpeter kubelkaという映画作家が居る。彼の言葉で言えば

「編集するときに大切なことは自分の敵が撮影したフィルム(映像素材)だと

思って編集することだ」

今回の作品をそんな風に扱えるだろうか?こわくてとても出来ない。

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インナーチャイルドで子供の頃の桂子を演じてくださった「ひより」ちゃんからイラストを頂きました。

これは大人の桂子とオフィスで遭遇する場面です。「大人の桂子と唯一笑顔で接する事が出来た場面だから印象に残っているのでしょうか」とはひよりちゃんのお母さんの言葉です。

そうかあ、二人を笑顔で向き合わせてあげることが出来なかったのかあ…でも、その状態こそが「インナーチャイルド」なのですから..。

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頂いたメールなど2

引き続き、みなさまから頂いた感想などを追加で載せさせていただきたいと思います。

以下は学生(女性のNさん)で、今回初めて撮影の大役を任された人からの感想です。地味に音声を現場で随分やったきたことが今回の現場に活きていたと思います。初めての撮影とは思えない細かい気配りで撮影をしていました。

こんばんは。
長らく撮影お疲れ様でした。
今年はロケハンから始まり色々なことに参加させて頂き、勉強になりました。

またカメラマンとして始めて撮影させて頂き、ありがとうございました。
普段はプロの方がされていることができ、頼りないながらも良い経験になりました。

様々な立場に立つことによって見えてくることがあり、少し成長した気がします。
また機会がありましたら今後ともよろしくお願いします。
お疲れ様でした。

そして、以下は主演のひとり、木島杏奈ちゃんからの感想です。彼女は中学生とは思えない真摯な態度で撮影に臨んでくれました。彼女の台本は役作りのメモ書きがびっしりで、細かい演技プランが書き込まれていて感心させられました。彼女の作り上げた「学生の新田桂子」はもう僕の作ったものではなく、映画の中では彼女の創造した桂子になっていることでしょう。

お疲れ様でした!
撮影ありがとうございました!
とっても良い経験ができました!

栗原先生に教わった事を忘れず、夢に向かって頑張ります!!
また機会がありましたらぜひ勉強させてください!!

自分で言うのもなんですが。すごくキラキラした夏の思い出になりました‼
本当に幸せでした(*^^*) 本当にありがとうございます☆彡
試験,思いっきり頑張ります!!(^^)

以下はメイクを担当してくれたラボーテの貝谷(かいや)さんからです。貝谷さんはすべての日程を皆勤していただき、いつも笑顔で現場を引っ張っていってくれました。僕が(そして、もちろんほかのみんなも..)暑さで元気の無いときも、先頭に立って現場で元気を出してくれていました。今回は彼女が影のMVPであることは皆の認めるところでしょう。多忙ななか、快く彼女を送り出してくれたラボーテの伊藤先生にも感謝です。

栗原先生 今日まで本当にお疲れ様でした。今回の撮影に参加できたこととそれが全日通してだったこと本当に幸せに感じます。

たくさんの出会いを私にくださり本当にありがとうございます。私が毎日元気に楽しく撮影に参加できたのも、栗原先生はじめ学生スタッフのみなさん素敵な演者さんたちのおかげです。

技術や現場のこと以外でもたくさん、心で学ばせていただいたことが本当に多い撮影でした。インナーチャイルドの撮影は間違いなく私のこの夏1番の思い出です。

素敵な経験と思い出を本当にありがとうございます。充実した2週間をありがとうございました。

また是非撮影に参加させてください! よろしくお願いします! 栗原先生のお話もまたゆっくり聞かせてください。長くなってしまいすみません。

明日からは編集作業がんばってください! 学生のみなさんにもどうぞよろしくお伝えください。 ではでは本当にお疲れ様です。 貝谷華子

以上、今回の三名の感想を紹介させていただきました。

その中で、みなさんは口を揃えて「栗原先生から教わった..いい経験をさせていただいてありがとう…」と言ってくれます。

それは、とてもありがたい言葉で、もちろん感謝しております。しかしながら…。これもみんな間違っている!

本当は…一番教わったのは…僕自身です….。 僕自身がみんなに教わったのであり、みんなのおかげで僕が良い経験をさせてもらったのだと言うことです。

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みなさまからのメールなど

今回は撮影に参加頂いた人たちからいただいた貴重なメールなどをご紹介したいと思います。これも私の大切な宝ものです。

以下は今回の映画を中心となって映画を支えてくれた学生のM君です。(一斉メールより抜粋)

皆様のおかげで、無事クランクアップを昨日迎える事が出来ました。

私自身、上手く現場を仕切る事も出来ずそれこそ「調整力」の無さを思い知らされた現場でした。そこは大いに反省すべき点です。

それでもいろいろな方からお力添えを頂き、誇張ですが「スタンド・バイ・ミー」の様なひと夏を過ごせました。

またいつかご縁がありましたら、皆様どうぞよろしくお願い致します。

まずは完成に向けてスタートを切る事が出来たので、学生の皆さんはこれからも頑張って下さい。

以下は撮影をお願いした人見さんからです。

栗原様

半月におよぶ撮影、本当にお疲れさまでした。

今回の仕事は私のカメラマンとしての活動の中で最も価値のある経験になりそうです

有難うございました。

機材返却、気をつけて行って下さい。人見

以下は大人の新田桂子役 主演の中川朋香さんからです。

栗原先生、本当にお疲れ様でした!

完全燃焼してしまったようで、昨日は床で朝まで熟睡でした…

去年に引き続き、今年も出演させて頂き本当にありがとうございます!!

今回、桂子という役を通じて演技の難しさ、奥深さ、そしてやり甲斐、楽しさをたっっっっくさん学ばせてもらいました。

私、普段はかなりのテレビっ子なんですが、、

撮影期間中はいっさい見れませんでした、というか見たいとも思わなかったです。単に疲れていたというコトもあるかもしれないけど、他の何か違う力が働いていたような気がします。

相変わらず昨日の夢でも、先生の「よ~い、はいっ」という掛声が響いてました(笑)

撮影期間中は余裕がなくて、「つらいなぁ」って思うコトもいっばいあったけど、終わってみるとやっぱ楽しくて、もう終わったと思うと寂しくて…もっとみんなと一緒にいたいなぁ~と思ってしまいました。

Angelに引き続き、先生と一緒に映画を作って、自分の成長はもちろん学生のみなさんの成長も見れて本当に嬉しかったです!先生に上手くなったねって言ってもらえましたが、間違いなく先生のおかげだと思います!!!!

また呼んで頂けたら幸いです☆

以下は西村友紀役を演じてくれた齋藤めぐみさんからです。

栗原先生様

この二週間ほど、撮影お世話になりましま。(原文のまま)

撮影だけでなくて、寝泊まりも、ご飯も移動もぜーんぶ面倒見てくださって

本当に助かりました\(^o^)/ありがとうございました!!

もうそろそろ次の役にならなきゃいけないのに、なんだかちっとも友紀が抜けていかなくて困ってます…。笑

今回私にとっては学生さん達の中という初めての空気の仕事になって、とっても良い経験になりました。

また帰ってきたいと思う様なホーム感で、素敵な現場だったと思います。

先生のお家は第2のホームのようでした!

また先生や皆と一緒にお仕事できることを楽しみにしてます(*^v^*)

齋藤めぐみ

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後半戦の撮影が終了しました

後半戦の撮影が終了しました

やっと落ち着いてきました。昨日まで東京のNK特機さんに機材を返却に行っていて今日から本格的に事後処理が出来そうです。

皆様のお陰で大きな事故無く後半の撮影を終えることが出来ました。それが何より良かったと思います。うちに泊まり込んでいたスタッフも全員居なくなるとなんだか手持ち無沙汰のような気もしてきます。

10日間の撮影でおおよそ300食あまりの食事や弁当を作った計算になるのではないでしょうか。これは自分の人生のなかでも新記録だと思います。また、僕の作った「あまりおいしくない弁当や食事」で頑張ってくれた役者さんやスタッフに感謝です。

今回の撮影も本当に「人」に恵まれました。多くの素敵な方々との出会いがありました。

快く病院を貸してくれた堀田先生、暑い中撮影に立ち会っていただいた名鉄の市来さんと駅長さん、瓢箪山の一休の大判焼きのおばちゃんも素敵な笑顔で撮影協力頂きました。いろいろお願いしました高見ストアーの村田店長様、鮮魚担当の方、瑞専寺の尾関住職様もありがとうございました。また、海の家の堀切様、VIVIenneのマサヤシェフ、VERGERの皆様、Abbey roadの店長様、Ds kitchenの祖父江様、もちろん南知多役場の方々、ロケナビの戸松様、差し入れ頂いた名古屋市立大学事務の間定様、ひよりちゃんのお母様、極真会館木山師範、ラボーテ伊藤様、尾藤様、また、キャンディー林様、セントラルジャパンの皆様、北海道から参戦の石井様、本当にありがとうございました。

撮影は、山に、海に、都会に、郊外にと本当にたくさんの場所に出掛け、おおよそ愛知県全域でロケをしたことになるでしょうか。

今回改めて学んだことは「人は、結局は一人では何も出来ない」ということです。と同時に「人が力を合わせることの素晴らしさ」を改めて実感しました。

そして、映画を作るというプロジェクトは多くの側面を持っていて、そこに関わる立場によっていろいろな見え方や関わり方があるのだと感じます。

今回の本当に苦しくて、そして本当に楽しかったプロジェクトを通じて多くの人が変化したように思います。もちろん、私自身もいろいろなことを学ばせていただきました。

参加した役者さんやスタッフの一部の方にとっては、人生をあとから振り返るとき、大げさでなく「人生の転機」とも言うべき事柄であったように思います。(それぞれの詳細は個人情報に属するのでここでの記述は控えさせていただきますが)

その人生の方向転換自体の是非を論じることはここでは控えさせていただきますが、少なくとも、そういう感情の振り幅の大きな(良い意味で)プロジェクトに関われたことや、それをやろうと言い出したことは、結果的には良かったのかなと考えております。

大人になればなるほど、人間は惰性で生きようとするもの、楽に生きようとするものです。そして世の中の多くの人が、その能力を効率的に最大限に換金しようとする風潮があります。学校でもそう言う教育をしていますよね。(いい会社に勤めることが最大の「目標」かのような教育…僕が言うのもなんですが…。)しかし、今回この映画に集まってくれた人たちは一人残らず、自分の能力を「換金」ではなく、「人を感動させること」に作用させようとしている人たちだったと思います。だからこそ、最終日のささやかな打ち上げに、別れがたく、主役の中川さんはじめ、ひよりちゃんや、あのクールな(実はとても暖かい)めぐみちゃんまで涙したのでしょう。(ごめんね..めぐちゃん、書いちゃいました)そして、いろいろな場所からいろいろな人が集まったからこそ、普段には経験できない化学反応が起きたのではないでしょうか。

これから、映画制作は実は撮影以上に大変な編集作業に移っていきます。もちろん映画を完成させることや公開することはとても重要なことです。しかし、半分は「教育」を目的とした自主映画、大学の映画である本作の撮影自体の経験が、永くみなさんの心に「良い想い出」」となって残って、いつもでもキラキラと輝いて「あの2012年の暑い夏は、大変だったけど、今考えてみれば最高の夏だったな..。」という風な懐かしい記憶となってもらえれば、私にとってこの映画制作プロジェクトは、現時点で半分は成功だったかなと感じています。

2012.9.6 栗原

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2012年 夏 撮影終了しました!

web班 高野
夏の撮影初参加で、いろいろ分からないこととても多かったですが、とても良い経験をさせて頂きました。
とても充実した夏になりました!
ありがとうございました!

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